本研究では,三大都市圏および地方中枢都市圏の商業業務地区における滞在者の居住地特性に焦点を当て,社会経済的な側面からその多様性と変化を検証した.本研究の知見として,まず,携帯電話の位置情報を用いた人流データを分析することで,各商業業務地区における滞在者の居住地ランクの多様性を評価することができた.他都市圏と比べて東京の特殊性が明らかになったが,都市圏共通の傾向として,商業業務地区が多様な職種や業種が混在することで一定の多様性が確保されていることが示唆され,これにより都市の社会的相互作用の場を提供している可能性がある.