近年、ため池の減少が起きている問題がある。ため池とは、河川が無い場所で農業を行う水を引くための池である。都市化による緑地、農地の減少、高齢化による農業従事者の減少から、放棄された耕作地やため池が増加してしまい、ため池の消失が起こっている。ため池は農業用としての水資源のみの使い方ではなく、親水空間や防災用、生物多様性にとって重要な場所になるため、放棄や減少してはならない存在である。水資源の重要性が問われている中で、ため池は近年注目されているところであり、国際的分野にもなっている。ため池を取り巻く都市の生態系は、自然と共生する社会や、持続可能な社会を実現するためにも保全すべきものである。本研究では、愛知県豊橋市のため池における生物多様性と、ため池周辺の立地環境を明らかにし、ため池の今後の保全や、ため池内の生物多様性について検討した。本研究を通じて、ため池の周辺環境がため池に生息する生物多様性に影響する可能性が示唆された。農業従事者が減少し、放棄されるため池が増加するなかで、生態系ネットワークに配慮したため池の保全・管理のあり方を考えていく必要がある。