滋賀県の地場産業を把握するとともに、そのうちの一つである高島市新旭町の繊維産地の立地と展開、産業空間の構成について明らかにした。対象とする産地は衣料用織物業、産業資材用織物業、撚糸業により形成されており、今日においては後継者不足や需要の低迷などによる事業の縮小で、稼働していない工場も点在する。ここに残る木造繊維工場に見られる特徴と立地について調査することにより、建築に見られた特徴や、廃業後の繊維工場を活用した事例や倉庫として使用されている事例を把握した。産地には多くの繊維工場が残るが、これまでは景観資源としての言及はされておらず、高島綿織物の空間資源活用への可能性が捉えられた。