近年、都心部の高架構造物の転用や撤去を伴う都市再生プロジェクトが盛んに行われている。その実現や効果の発現には一定の時間がかかり、周辺地区の空間計画に反映されるまでには時間がかかる。本研究では、トロント市のThe Bentwayを事例として、慈善財団によって短期間に高架高速道路下の公共空間化を実現したプロジェクトが、周辺地区を対象とした空間計画に与えた影響を分析する。分析の結果、同プロジェクトの実現前後で、空間計画における高架高速道路に対する位置づけが、障壁から可能性がある場所へと変化したことがわかった。また、様々なプログラムを通じて周辺地区の団体と関わることで、The Bentwayのプロジェクトの空間そのものも、公共空間の拠点から、パブリックラボへと位置づけが変化していった。