2024 年 22 巻 4 号 p. 777-781
米国シアトル市は2018年よりデザインレビューに向けての地域社会への早期の情報提供制度(アウトリーチ制度)を運用している。本稿では、アウトリーチ制度の概要とアウトリーチで得られた地域社会からの意見と竣工済みの建築物の状況把握を通して、制度の特徴等の考察を目的としている。調査方法は、市のホームページと担当者からの情報収集、学識経験者へのヒアリング調査、開発事例の現地調査である。研究の結果、本アウトリーチ制度は、多種多様な情報の伝達方法が設定されており、市内の各地域社会の情報リテラシーに応じて伝達方法を選び、情報伝達の不公平さが発生しないよう制度設計がなされている点が特徴であることを示した。