2024 年 23 巻 3 号 p. 351-
都市拡大期に、大規模ニュータウン(以降、NT)開発が各地で進められた。大規模NT開発により、「住宅地や工業団地」と「既存集落」というような、性格が異なる2つのコミュニティーが共存する特徴的な空間がよくみられる。NT開発においては、近隣住区論に基づき、開発対象域では整合性のある全体計画が立てられたが、隣接する農村集落では、営農意欲の低下、耕作や管理が放棄された空間の増大など様々なマイナスの影響を及ぼすことが指摘されている。一方で、人口減少、高齢化を背景に、大都市圏域の最外縁部に位置する郊外NTは再生への契機を生む住宅需要圧が少なくなり、近隣センター等の衰退、魅力低下など、大きな課題を抱えている。したがって、NTと周辺農村集落との関係の再構築は、NTと農村集落の両方の魅力づくりの視点からも重要であると考えられる。そこで、本報告では、神戸市西神NTに隣接している23集落を対象に、神戸市里づくり支援事業に基づき、都市農村交流活動の実施状況などを考察した。