都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
23 巻, 3 号
都市計画報告集
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 兵庫県加古川市寺家町商店街の「かわのまちマーケット」を事例に
    森 由加利, 太田 尚孝
    2024 年23 巻3 号 p. 320-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、地方都市の多くの商店街では衰退問題が生じている。そこで本稿では、兵庫県加古川市寺家町商店街をケーススタディとする。我々は、「かわのまちマーケット」と呼ばれるマーケットイベントが、商店街再生に寄与するのかどうかを調査した。調査時期は2024年8月から10月である。結果として、イベントは想定以上の成果があるが、イベント性が高く商店街再生には至っていなかった。イベントを継続しながら、出店者と商店街店主をつなぐ支援あり方などを再検討する必要がある。

  • 平 修久, 西浦 定継, 吉川 富夫
    2024 年23 巻3 号 p. 325-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ニューヨーク市は、滞納税により取得した住宅の莫大な維持費を削減するため、競売にかけ営利企業に譲渡した。しかし、これにより滞納税が繰り返され、住宅の老朽化が進んだ。そこで、こうした事態回避のため、住宅は主に地元の営利企業や非営利団体に譲渡するように切り替えた。同市は、入居の継続を保証し、限定出資入居者協同組合の組織化を支援し、組合員に住宅を安価で譲渡している。また、一部の住宅はホームレスの入居も受け入れている。

  • 平 修久, 西浦 定継, 吉川 富夫
    2024 年23 巻3 号 p. 332-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ニューヨーク市の税担保証券化は、滞納税の徴収費を削減し、利息と罰金により滞納税額以上の収入をもたらすことで経済的に成功している。投資家にとっては超先取特権のため、低リスク・高リターンの投資であった。成功の主要因は不良不動産の排除、活発な債券・不動産市場の存在である。しかし、所有者の多額の償還費や住宅喪失などの証券化のマイナス面は、住宅ローンや課税で歴史的に差別されてきた黒人居住地域に集中していた。そして、証券化の再認可は2022年に停止された。証券化は住宅をどう見るかという基本的な問題、納税意識をどう高めるか、税徴収の厳格さと支払不能者の救済とのバランス、税徴収権の公売の妥当性など、多くの問題を提起している。

  • 石田 愛奈, 押田 佳子, 佐倉 諒哉, 加藤 颯人
    2024 年23 巻3 号 p. 339-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
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    本研究では,各都道府県発行の教員向け防災教育の手引き及び被災地の児童・生徒向けの防災教育副読本を対象に,学校防災教育における被災体験談の活用実態を明らかにすることを目的とした.その結果,教員向け防災教育の手引きでは被災体験談の記載がある都道府県が11自治体みられ,児童・生徒向け防災教育副読本では兵庫県,岩手県,宮城県は地震発生から避難所生活,復旧までの一連の流れを網羅的に共有しつつ,教訓を風化させないよう体験談そのものの重要性を啓発していた.熊本県は自助や共助,復興支援など被災後のふるまい方の学習が重要視されていることに加え,被災を通じて自らの進路や地域学習など新たな学びに繋がる傾向を捉えた.

  • 鳥取県日野郡3町(日南町、日野町、江府町)を対象として
    玉木 志穂, 丸山 優樹
    2024 年23 巻3 号 p. 345-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、中山間地域における高齢者の社会参加活動への参加と高齢者の幸福感に影響を与える要因を明らかにした。また、新たに社会参加活動に参加する可能性のある高齢者の特徴や今後の社会参加活動への参加意向を示すことを目的とした。その結果、約半数の高齢者が社会参加活動に参加していなかったが、参加していない高齢者のうち約4割が今後参加したいという意向を示していた。参加希望者は60歳代に多い傾向が見られた。また、社会参加活動への参加は、個人の主観的幸福感を向上させることも確認された。

  • 神戸市里づくり支援事業の採択団体を事例として
    李 書陽, 高木 悠里, 嘉名 光市
    2024 年23 巻3 号 p. 351-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市拡大期に、大規模ニュータウン(以降、NT)開発が各地で進められた。大規模NT開発により、「住宅地や工業団地」と「既存集落」というような、性格が異なる2つのコミュニティーが共存する特徴的な空間がよくみられる。NT開発においては、近隣住区論に基づき、開発対象域では整合性のある全体計画が立てられたが、隣接する農村集落では、営農意欲の低下、耕作や管理が放棄された空間の増大など様々なマイナスの影響を及ぼすことが指摘されている。一方で、人口減少、高齢化を背景に、大都市圏域の最外縁部に位置する郊外NTは再生への契機を生む住宅需要圧が少なくなり、近隣センター等の衰退、魅力低下など、大きな課題を抱えている。したがって、NTと周辺農村集落との関係の再構築は、NTと農村集落の両方の魅力づくりの視点からも重要であると考えられる。そこで、本報告では、神戸市西神NTに隣接している23集落を対象に、神戸市里づくり支援事業に基づき、都市農村交流活動の実施状況などを考察した。

  • 持続可能な世界に向けたまちづくりの再資源化の研究7
    木村 直紀, 太田 和, 木塲 佳音, 土肥 真人
    2024 年23 巻3 号 p. 357-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿の目的は、社会の価値観の変化に対応した新しい価値をまちづくりに見出すことである。(シリーズ第7稿)本研究では、世田谷区東玉川地区において子どもを見守り育てる活動を通じてコミュニティ形成を実現する「子どもでつながるハートクラブ」(以下「こつな」)の事例を取り上げる。「こつな」の活動の実践者へのインタビュー調査を行った結果、6つのまちづくりの新たな価値が同定された。これらの新しい価値は、目の前の隣人の困難に寄り添う、という人間の根源的な共感する能力から生みだされている。「こつな」は、専門的アプローチと公的アプローチとの二つの接続の回路を持つことで、共感に基づくコミュニティの生成を継続的に維持していると考えられる。また、実践者からは、共感に基づくコミュニティの力が、子どもの成長や一人一人の幸福を支え世界の平和につながる、というビジョンが示された。

  • 横浜市立大学金沢八景キャンパスを事例に
    北原 麻理奈, ホアン バオ ノック, ムハンマド アズミール アブ バカール, ヌール イラ, 中西 正彦, 落合 亮太, 庄司 弥生, ...
    2024 年23 巻3 号 p. 364-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿は、カーボンニュートラルの実現に向けて大学が取り組むべき省エネルギー対策の方向性を明らかにすることを目的とし、横浜市立大学金沢八景キャンパスを事例に、キャンパス内の建物のエネルギー消費の現状を調査した。電気・ガス使用量のデータが得られた11の建物について、単位床面積あたりの一次エネルギー消費量を算出し分析を行った。分析を通して、新型コロナウイルス感染症の流行が建物のエネルギー消費に与えた影響の有無や、エネルギー消費量の削減の余地がある建物を特定することができた。

  • 棟向きを中心としたインターネット地図機能を用いた基礎的広域調査
    史 珂, 岡崎 篤行
    2024 年23 巻3 号 p. 368-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    町屋の棟向きが集落ごとで変化する場合があることが明らかになっている。また年々減少している。そのため、早急かつ全国を対象として網羅的に調査する必要がある。本研究では北陸三県の町屋における残存状況、棟向き及びその他の外観特性の分布を明らかにする。調査の結果、石川県と福井県において横屋、竪屋、複合型の分布は複雑であり、富山県は横屋が主流である。また、町屋の棟向きは単一の確定的な要因で決まるわけではなく、複雑な様相を見せている。

  • 主観的幸福と自律神経の計測・評価の試み
    高澤 由美
    2024 年23 巻3 号 p. 376-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、温泉地における過ごしかたや環境要因を通じて、来訪者のwell-beingにどのように寄与しているかを調査した。ウェブ調査(n=268)と現地実験を用いて、主観的幸福感と自律神経反応を測定した。その結果、特に自然散策のようなアクティビティと組み合わせた場合、温泉訪問はネガティブな感情を有意に減少させ、リラックス効果を高めることが示された。しかし、これらの体験中に身体的疲労は増加した。限界としては、サンプル数が少ないこと(n=10、実験ではn=20)、自律神経の変化に関する知見が限定的だったことが挙げられる。本研究は、温泉観光におけるウェルビーイングを高めるために、自然体験と歴史・文化体験を統合することの可能性を見出し、持続可能な地域社会へのより広い示唆を与えるものである。

  • なんば広場(仮称)の転換直後を対象として
    道岡 蒼登, 高木 悠里, 嘉名 光市
    2024 年23 巻3 号 p. 382-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、なんば広場における歩行行動・滞留行動の実態を明らかにすることである。なんば広場は2023年に供用が開始された歩行者専用空間である。本研究では、通行量調査、滞留位置調査、滞留行動調査の3種類の調査を実施した。その結果、以下のことが明らかになった。(1)なんば広場内の動線は多様化し、広場周辺の通行量が増加している。(2)なんば広場で滞留する人の多くは、比較的短時間の滞在や休憩をとる傾向がある。(3)なんば広場供用前の駅前空間と比較すると、滞留行動が多様化している。

  • 今村 洋一
    2024 年23 巻3 号 p. 390-
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、中国地方の国立大学(鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。鳥取県では、鳥取農業専門学校が旧演習場を演習林や砂丘試験施設として使用したほか、鳥取大学学芸学部が郊外の旧兵営に移転したほか。岡山県では、罹災した第六高等学校や新設の県立岡山農業専門学校が、郊外の元第17師団の旧兵営や旧兵器補給廠に移転し、新制岡山大学のメインキャンパスとなった。広島県では、罹災した広島文理大学、広島高等学校、広島工業専門学校は一時的に旧軍の教育施設を使用後、旧校地に復帰した。罹災した広島高等師範学校と広島女子高等師範学校、非罹災の広島青年師範学校は、旧兵営や旧被服廠に移転して新制に移行した。罹災した広島県立医学専門学校は旧兵営や旧海軍関連の病院を使用し、旧制医科大学に昇格したが、広島市内への移転が新制移行の条件とされたため、旧兵器補給廠へ移転した。

  • 今村 洋一
    2024 年23 巻3 号 p. 398-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、四国地方の国立大学(徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。罹災した学校の多くは、旧軍施設の使用を希望しており、実際に使用できた学校も多かった。各県の国立大学4校は、いずれも旧制前身校が旧軍施設に移転し、新制移行後も大学キャンパスとして使用し、香川大学以外は、現在まで使用し続けている。現在、愛媛大学と高知大学では、旧軍用地を転用した校地がメインキャンパスとなっているほか、徳島大学では医・歯・薬の各学部と附属病院のある大規模なキャンパスとなっている。このように、旧制前身校と旧軍施設が、県庁所在地やその近郊にあった徳島、愛媛、高知の3県においては、罹災校舎の代替だけでなく、新制国立大学のキャンパス用地として、旧軍施設の果たした役割は大きいと言える。

  • 菅原 遼, 杉山 洋太, 竹内 俊介
    2024 年23 巻3 号 p. 405-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、神奈川県横須賀市の浦賀地域に焦点を当て、造船所を中心とした地域形成のプロセスを整理した上で、浦賀ドックの保存・活用に関わる地域活動の実態を捉えた。浦賀地域は、東京湾口に位置することから「海防」「流通」「造船」の拠点として地域が形成されてきた。現在では、さまざまな産業遺産を再評価し、「地域振興・観光」の取り組みが展開されていた。浦賀ドックの保存・活用に関する取り組みは、造船地域という文脈の中で、行政・企業・専門団体がそれぞれの特性を活かした活動を実施することで展開されていた。

  • 「東京のしゃれた街並みづくり推進条例・まちづくり団体の登録制度」の151の事例分析
    太田 拓翔, 土田 綾美, 倉田 晃輔, 江坂 巧, 泉山 塁威
    2024 年23 巻3 号 p. 411-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
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    本研究では、「東京のしゃれた街並みづくり推進条例・まちづくり団体の登録制度」に基づく公開空地の空間整備及び活用の特徴を明らかにした。公開空地は、都市生活の質を高め、社会的交流を促進する重要な要素である。本研究では、文献及びアンケート調査、2022年度の活動報告書を基に活用実態の傾向と特徴を分析した。その結果、固定式設置物や店舗、倉庫の配置、庇空間の形状が活用実態に大きく影響を与えることが明らかになった。固定式設置物を広場周縁に配置することや公開空地に面して複数の店舗を配置することは、日常的な利用を促進する。また、動線を考慮した倉庫の配置や庇空間は、多様なイベントの開催を支援する。今後の公開空地の空間整備においては、活用実態や天候を考慮した効果的な計画が重要となる。

  • 糖尿病発症抑制のため市民の行動変容をめざして
    伊藤 学, 西場 洋介, 飯田 英和, 吉村 健佑, 阿部 幸喜
    2024 年23 巻3 号 p. 419-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    千葉県北東部に位置する旭市は、ノボ ノルディスク ファーマ株式会社、千葉大学と連携し、官民学連携で糖尿病患者を減らすことを目的とした「he Cities Changing Diabetes Project 」を2021年から実施している。このプロジェクトでは、歩く習慣のない市民の行動変容を促すため、歩きやすい街推進チームが市内に4本のウォーキングルートを設定した。これまでのプロジェクト推進の経過・進捗状況を概説した。

  • 羅 , 谷口 優雅, 中山 拓磨, 小山 駿, 佐久間 康富, 深堀 清隆, ボロルマ ダムディンスレン, ムフジン エンクタイワン
    2024 年23 巻3 号 p. 422-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市化の進展に伴い、人口増加や交通問題が課題である。モンゴルの首都ウランバートルでは、地理的特性や環境要因により、集中的な都市開発が進行している。この結果、歩行者の交通環境が悪化し、安全性が懸念されている。本報告では、現状を改善し、地元住民のニーズに基づいた対策を検討するため、ウランバートルのTokyo Streetにおける歩行者を対象とした社会実験を行い、その結果を報告する。

  • 千葉県市原市におけるクロノスファームの事例から
    新保 奈穂美
    2024 年23 巻3 号 p. 429-
    発行日: 2024/12/09
    公開日: 2024/12/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市における農への関心が高まる中、さまざまな民間企業がこの分野に参入している。本報告では、出光興産株式会社が運営する千葉県市原市にある空き地と上総更級公園の一部を活用した「クロノスファーム」を事例に、民間セクターが参画するコミュニティガーデンの可能性と課題について考察する。クロノスファームは、フィールドコーディネーターがサポートする会員制モデルを採用しており、初心者向けの体系的な活動を提供し、地域社会とのつながりと教育を重視している。調査では、特に参加者が教育や娯楽のメリットを評価し、公園内の農園に対して肯定的な認識を持っていることが示されました。この取り組みは主に子供を持つ家族を惹きつけ、個人の成長と地域社会への関与の機会を提供している。課題としては、持続可能な価格設定モデルの確立と調和のとれたコミュニティ醸成が挙げられる。

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