2025 年 23 巻 4 号 p. 479-
本研究は、沿線における各駅の開設要因を調査し、その後の駅周辺市街地の変化に伴う駅特性の変容傾向を明らかにし、将来の鉄道利用促進に向けた知見を得ることを目的とする。まず、なんば駅から和歌山市駅までの南海線の41駅について、駅開設時期と開設要因を調査し、特徴ごとに分類した。次に、駅から徒歩圏内の半径500メートル以内の現在の土地利用状況を調査し、5つの型に分類した。最後に、開設当時と現在における駅特性を比較し、その変化を分類し、駅特性の変容傾向を明らかにした。その結果、駅開設当時は沿線全体に観光・行楽地だけでなく、様々な地場産業が集積していたが、現在では駅周辺の産業構造や土地利用が変化し、かつて地場産業発展地であった駅周辺の主要産業は臨海部の工業へ移り、観光・行楽地から工業地、そして住宅地へと土地利用が変化した駅も多くあることが明らかとなった。