本研究はコロナ禍前後での鉄道駅周辺における若年層の移動パターンの変化に注目し、その要因を明らかにすることを目的とした。分析では、埼京線および京浜東北線沿線の大宮駅から赤羽駅までの 20 駅を対象に、乗降客数変化率を被説明変数とする回帰分析を行った。その結果、若年層において他年齢層との差異が出たのは都心部までの距離や周辺施設密度であり、駅前施設の充実度が高い駅で乗降客変化率が高いことが示された。さらに、新宿までの移動時間は定期券保有率の統制の有無により、その推定係数値の符号が逆転した。これは、コロナ禍によるテレワークやオンライン授業普及の結果、通勤・通学行動が変化していることを示唆している。