2025 年 24 巻 1 号 p. 48-51
近年, 世界的に「脱炭素化」に向けた機運が高まっており, 脱炭素化向け, 再生可能エネルギーの導入が急速に拡大している. 一方で, 再生可能エネルギー開発に伴う環境被害や, 域住民の反対による紛争などの問題の発生も見られる. 中でも地熱発電に関しては温泉事業者という地域資源と密接に関わりのある特有のステークホルダーが存在するため, 開発に際しては地域社会による受容が重要である. 地域における受容性を担保するべく一部の地方自治体が条例などで地熱発電の開発に対して一定の制限を設けているものも見られる. 地熱開発を行う上で各自治体で独自に定められた条例や規制は極めて重要であるが, その影響に関する検証は限られる. 本稿は, 大分県別府市の地熱発電に関する条例に焦点を当て, その運用と効果を明らかにすることで, 地域と共生しながら円滑な地熱開発を行う上で望ましい規制・条例のありかたについて考察した.