本研究は路線長の短い岡山市街地の路面電車敷設による都市空間を対象とし、開業から現在までの都市形成の実態を明らかにするとともに、今後の路面電車による都市空間形成の一助とすることを目的としている。路面電車の敷設から現在までを、乗降客数の推移等をもとに4つの時期に区分し、各時期の都市形成との関係性を分析した。その結果、戦後の路面電車は都市計画に影響を受けながらも、戦後の街づくりに寄与し、都市形成に不可欠な基盤として機能していた。また現在も都市再生化に環状化構想が組み込まれるなど、今後の都市形成においても重要な存在であることが明らかとなった。