2006 年 4 巻 3 号 p. 71-76
東京大学工学部都市工学科都市計画コースでは、学部3年生を対象とした演習課題のひとつとして、「地域計画演習」(広域演習)を実施している。本稿は、 2005年度に行われた同演習の実践報告である。本演習は、都市計画コースの演習カリキュラム上、広域-都市-地区の空間スケールに応じた計画課題を理解し、計画間相互の関係について学ぶ演習の一環として位置づけられる。本演習は、GIS等を用いた地域分析・交通分析手法の習得、東京圏を対象とした地域計画フレーム設定と、それに基づくセクターを対象とした地域計画立案課題から構成される。また、課題設定にあたっては、都市基本計画演習との連続性も考慮している。本演習では、学生の作業に自由度を与えつつ、広域計画において必要なテーマが議論されるように工夫し、学生の提案にもグループによる特色が見られたが、その一方で、広域計画を演習課題として扱うことの問題点も明らかになった。都市計画分野における広域的視点の重要性が高まっているなかで、都市工学科の広域演習は、大学学部都市計画教育における試みとして有用な情報を提供するものである。