2006 年 5 巻 1 号 p. 9-12
地方分権化への転換期を迎え、過疎化や地場産業の衰退により疲弊した農村部では、都市部や地域内外との関係性を重視し、広域的な観点から競争力・地域力を強化することが急務である。しかし、近年、農地や自然環境の多面的機能や付加価値を活用した個別の取り組みは見られるものの、地域の自立的経営を支える動きには至っていない。また、これまでの経済優先型・自治体完結型のハード整備に偏重した地域振興も広域的な観点から非効率や環境破壊が指摘されている。そのため、地域の自然要素や産業資源等の固有のストックを利活用した多様な取り組みと、地域の持続可能性を重視した目標像や実現化へ向けた政策・計画を連動させた展開が求められる。