2008 年 6 巻 4 号 p. 130-135
本研究では,被災後の復興状況を地域の物的環境という観点から定量的に記述する建物復興曲線を構築した.その結果,仮設住宅の建設状況はゴンペルツ曲線が,また恒久住宅の建設状況は累積正規分布曲線が最も適切に近似できることが明らかになった.次に,これらの曲線を用いて,スリランカ各地と国全体を代表する建物復興曲線を導き,仮設住宅と恒久住宅の復興過程から,その違いを定量的に明らかにした.ここで示した建物復興曲線構築の過程は,被災後の復興過程を定量的に記述し,社会的背景の異なる地域間の比較を行ううえでの汎用的な方法論となり得る.