2009 年 8 巻 1 号 p. 42-45
岐阜県白川村の合掌家屋は火災に脆弱であるが、厳しい自然の中で形成されてきた強い地域のつながりや長年の住民の努力によって現在まで維持されてきた。そこで本調査では伝統的な集落の維持のために、住民による日常的な防災活動の内容、それを継続させてきた仕組みや住民の意識をヒアリング調査を行った。白川村では防災水利システムの維持管理、1日4回の火の番回りや消防団への参加など多様な防災活動が行われていた。これらの活動は、住民への義務を基本とした「地区」単位の活動と、より柔軟性のある「組」単位の活動が重層的な仕組みを構築していることによって、継続的に行われていることが確認された。また、その活動に住民が主体的に参加することによって防災意識が高く維持されてきたことが明らかになった。