2010 年 9 巻 1 号 p. 12-17
ハワイ島のヒロは,これまでに多くの津波被害を受けており, 1946年アリューシャン地震津波と1960年チリ地震津波により沿岸部住宅地で壊滅的な被害を受けた.被災後,将来の津波被害軽減のための都市復興計画が進められ,その結果大規模な沿岸緑地帯が生まれた.沿岸部の建築規制と住宅の高所移転は,津波により被災した地区の復興手法のひとつであるが,住民の合意形成や漁業の利便性追求のため困難もともなう.ヒロで実現した計画は津波に脆弱な沿岸都市における津波復興のひとつの模範を示しているともいえる.本稿ではチリ津波地震50周年を迎えた現地の状況も含め,被災と復興の変遷について都市形成の観点から報告する.