Review of Polarography
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融解チオシアン酸カリウム中でのウラニルイオンのポーラログラフ的およびクロノポテンシオメトリー的挙動
柳 忠永田 峻小林 正樹品川 睦明
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1968 年 15 巻 4-5 号 p. 102-107

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抄録
 融解チオシアン酸カリウム中(185℃)でのウラニルイオンの電気化学的挙動を,滴下水銀電極を用いて,直流ポーラログラフ法およびクロノポテンシオメトリー法によって検討した。そのため無水硫酸ウラニルが10-3mole/KSCNの程度に溶存するものを用いた。 ウラニルイオンの直流ポーラログラムは2段波を示した。第1波の波高は復極剤濃度との間に良好な直線関係を示し,また,水銀柱高の1/2乗に比例したが,第2波の波高とこれらとの間には比例関係が成立しなかった。一方log[i/(id-i)]と電極電位(E)との間には第1,第2波とも直線関係が認められなかった。同じ電解系についてのクロノポテンシオグラムも直流ポーラログラムの場合と同様に2段波を示した。第1波においては,各復極剤濃度についてのi0τ11/2値は一定となり,両者の間には比例関係が成立する。また第1波についてのlog{(τ11/2-t1/2)}対Eプロットは直線関係を示し,その勾配の逆数(平均値;0.0993)は185℃におけるn=1のときの理論値(0091)とほぼ一致している。第1波と第2波の遷移時間の比(τ12)は約1:3の関係にある。これらのことから融解チオシアン酸カリウム中でのウラニルイオンの電解還元反応は拡散支配によるものであり,つぎに示す2段階の反応によってUO2にまで還元されるものと考えられる。第1段UO2+++e=UO2+第2段UO2+++e=UO2 さらに融体中での,185℃におけるウラニルイオンの拡散定数としてD=6.56×10-7cm2/sec.が得られた。この値は同じ融体中での鉛イオンのそれに比して約1/3である。
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© 日本ポーラログラフ学会
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