抄録
水―有機混合溶媒系において,溶媒組成による粘度,ポーラログラフ波高および半波電位を各有機溶媒について測定した.拡散電流が粘度変化だけにより変化するものと仮定して実測波高を実測粘度から計算した波高と比較すると,ジオキサンの場合,低い有機溶媒含量では両者はかなりよく一致するが,DMF,アセトニトリルの場合は偏差が見られる。一方高い有機溶媒含量では,ジオキサンの場合偏差が極端に大きくなるが,DMF,アセトニトリルの場合,それ以上大きくなってこない.従って両者の偏差は有機溶媒の性質に関係していることが認められる.これらの原因として,ジオキサンの場合,イオン会合が,そしてDMF,アセトニトリルの場合,選択的溶媒和が考えられる.1価のT1+イオンについては更に緩和効果の補正をした所,よりよい一致が得られた. 半波電位についてはフェロセンおよびコバルトセンによって液間電位を補正して溶媒組成との関係を調べたが,ボーンの式に従わず,イオン会合等が影響しているものと思われる.