抄録
ポーラログラフ法を用いてクロラニル(Q)の光化学反応の速度論的研究を行った.クロラニルおよび支持電解質として0.06MEt4NC1O4を含むジクロルメタン溶液中でDMEの表面を紫外線照射した場合,ポーラログラフ電流一電位曲線およびDME1滴下間の電流一時間曲線に顕著な影響が観察された.この現象は,光照射時のクロラニルの紫外,可視スペクトルに対する電子供与体の効果などの考察より,電解還元によって生成したクロラニルアニオンラジカルQ-およびジアニオン(Q2-)のそれぞれQおよびQ-への光酸化反応に原因すると結論された.また接触電流に関するHenkeとHansの理論およびKou-teckyの理論を援用した方法によってQ-からQへの光酸化過程の見かけの速度定数が評価された.