抄録
脊髄性失調症一例に対して運動療法を実施し,その効果を立位での側方体重移動時の追従動作能力の変化で知ることを目的とした。追従動作能力は582日間のうち14回計測し,うち7回は運動療法実施の直前・直後で計測した。運動療法実施の直前に計測した14回については日数の経過による変化を,運動療法実施の直前・直後で計測した7回については前・後の比較を行った。
その結果,体重移動開始の時間要素や荷重速度は健常値と大差なく,経日的にも運動療法実施直後にも大きな変化は見られなかった。目標値を維持する能力は健常者よりも低く,運動療法実施直後ではバラツキがやや減少したが,経日変化は少なかった。