理学療法学
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早期公開論文
早期公開論文の6件中1~6を表示しています
  • 中口 拓真, 安丸 直希, 桑田 一記, 柳川 楓香, 北原 佑磨, 石本 泰星
    論文ID: 12568
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/14
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】Barthel Index(以下,BI)悪化確率を意思決定曲線分析(Decision Curve Analysis: 以下,DCA)で評価し,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)頻度に関する説明モデルの臨床利益(Net Benefit:以下,NB)を検討する。【方法】訪問リハを受けた104名の年齢,性別,Charlson Comorbidity Index, Short Physical Performance Battery, Mini-mental State Examination, BI初期値をもとに,6か月後のBI悪化確率を説明する回帰モデルを作成し,その精度は曲線下面積で評価した。DCAでNBを算出し,週2回と週1回の訪問リハにおけるNBの差を算出した。【結果】回帰モデルの精度は曲線下面積0.86であった。DCAにおいて,BI悪化確率が61%以上では,NBの差が31.1%,81%以上では48.0%と高値であった。【結論】BI悪化確率が高い患者ほど,複数回の訪問リハのNBが高い可能性がある。

  • 禹 炫在, 吉田 一平
    論文ID: 25-12600
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/03
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】生成人工知能(Generative Artificial Intelligence:以下,GAI)の医療論文執筆利用が拡大する中,倫理的課題が指摘されている。本研究は,日本の理学療法関連学術誌におけるGAI倫理指針の実態を明らかにし,その整備の必要性を検討する。【方法】日本理学療法士協会学術誌1誌,学会・研究会機関誌19誌,士会学術雑誌45誌の計65誌を対象に,投稿および執筆規定を調査し,GAIに関する記載の有無を分析した。【結果】最終調査対象の全60誌において,GAIに関する倫理指針の記載は確認されなかった。また,2022年11月以降の改訂版にもGAIに関する規定は含まれていなかった。【結論】国際学術誌ではGAI倫理指針の整備が進んでいる一方,日本の理学療法関連学術誌では十分に整備されていない。本研究の結果は,当分野の学術誌におけるGAI利活用の指針の検討の必要性を示唆しており,今後の対応が求められる。

  • 石﨑 崇天, 吉岡 聖真, 西上 智彦, 田中 聡, 長谷川 正哉
    論文ID: 25-12599
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】若手理学療法士をとりまく職場の心理的安全性に関する現状と働く意欲やストレスとの関係性を明らかにし,心理的安全性に影響を与える要因について検討すること。【方法】本研究は量的調査および質的調査からなる混合研究とした。はじめに,経験年数5年目以下の理学療法士116名を対象としてアンケート調査を行った。次に,アンケート調査に参加した理学療法士のうち29名を対象にインタビュー調査を行った。【結果】アンケート調査より心理的安全性と働く意欲およびストレスに相関関係を認めた。また,インタビュー調査より心理的安全性に基づく職場風土の形成には「ミッション,ビジョン」「業務内容とシステム」「他者との関わり」「個人の特性」「共感」というカテゴリーが影響を与えていると考えられた。【結論】若手理学療法士の心理的安全性は働く意欲やストレスと関連しており,若手理学療法士の心理的安全性に影響を与える要因が示唆された。

  • —症例報告—
    川淵 敬太
    論文ID: 12579
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【はじめに】複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome:以下,CRPS)は痛覚過敏や運動機能低下を特徴とし,主に外傷や手術後に発症する。今回,足部のCRPSを発症し,著しい疼痛と運動困難に対してリアルタイム超音波画像フィードバック(Real-time ultrasound imaging:以下,RUSI)と疼痛過敏性に応じた運動療法を行った症例を経験した。【症例】本症例は,フェンシング動作による足部への負担が疼痛発症の契機となり,その後の過剰な安静固定によってCRPSが発症したと考えられた。介入前は疼痛過敏と足関節運動不可,歩行困難であったが,RUSIと疼痛過敏性の程度に応じた運動療法を実施した結果,疼痛は消失,足関節運動および歩行が可能となり,競技への復帰が達成された。【結論】この報告は,CRPS症例においてRUSIと運動療法の併用が症状の改善に寄与することを示唆している。

  • —A Scoping Review—
    宮﨑 宣丞, 竹下 康文, 荒木 草太
    論文ID: 12575
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/24
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】整形外科領域の脊椎疾患者に対して,ウェアラブルセンサーで計測した加速度を用いた歩行分析に関する研究結果を系統的にマッピングすることと,既存の知見のギャップを特定すること。【方法】医中誌,PubMed, Scopus, Cochrane Libraryの各電子データベースとハンドサーチを用いたスコーピングレビューを行った。言語は日本語と英語とした。【結果】最終的に10編が採用され,主な対象は腰部脊柱管狭窄症であった。加速度波形の振幅や規則性を横断的に評価した報告が多く,疾患群において健常群よりも歩行が不安定であることが横断的にも縦断的にも示されていた。使用されていた指標には,ばらつきがあった。【結論】整形外科領域の脊椎疾患者に対する加速度を用いた歩行分析の情報は少なく,確立された指標はなかった。今後はカットオフ値の算出など,疾患特異性や介入効果を示す最適な指標の探索が必要である。

  • 奥村 太朗, 伊勢 昇平, 小川 侑男, 廣田 知佐恵, 桑原 康太, 白井 智裕
    論文ID: 12555
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/08
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    【目的】肩甲下筋(Subscapularis:以下,SSC)断裂併発症例における鏡視下腱板修復(Arthroscopic Rotator Cuff Repair:以下,ARCR)後5週の下垂位外旋可動域(Range of motion:以下,ROM)と術後12ヶ月の治療成績との関係を検討した。【方法】ARCRを施行した92例95肩を対象とした。術前,術後5週,3, 6, 12ヶ月の他動ROM, 再断裂の有無を術後5週の外旋25度以上(以下,H群)と20度以下(L群)およびSSC断裂併発症例群(SSC+群)と非断裂症例群(SSC−群)で比較した。術後5週の外旋25度以上に関与する術前因子とカットオフ値も算出した。【結果】ROMは術後12ヶ月までH群で高値であった。SSC断裂の有無に関わらず再断裂はH群で多かった。術前因子は結帯ROMが選択され,カットオフ値は第1腰椎であった。【結論】SSC断裂の有無に関わらず術後5週の外旋を20度に留めることは再断裂予防として有用であり,術前結帯ROMが第1腰椎以上の場合,術後5週の外旋が25度以上になる可能性が高くなる可能性が示唆された。

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