抄録
肩関節の疼痛及び可動域制限を有する患者41例(52肩)を対象に,肩関節可動域のスクリーニングに使われるApley scratch test(AST)の有用性について検討を行った。その結果,ASTは結髪様運動により外転・外旋,結帯様運動により内転・内旋を検査するとされているものの,前者はむしろ屈曲との相関が強く,肘の生理学的屈曲など上肢の運動が総合的に影響しているのに対し,後者では内旋の関与が特に著しいことがわかった。また,両テストは実際の結髪・結帯動作を中心とした日常生活動作の状態を的確に反映しており,両動作の難易度把握の指標としての利用が可能であった。なお,ASTは手・手指部の動きにあまり影響されないため,指尖部使用による測定で特に問題はなかった。