理学療法学
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症例研究
嚥下改善術後の嚥下訓練の一考察
―口腔底腫瘍摘出術後に嚥下障害を呈した一症例について―
太田 清人森 正博
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1994 年 21 巻 3 号 p. 231-237

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抄録
口腔底腫瘍全摘出術により嚥下障害を来し嚥下改善術を施行した一症例に対し嚥下訓練(舌運動の改善・嚥下代償機能獲得・水分補給用ゼリーによる摂食訓練)を行い,その効果をVideofluorography(VF検査)により誤嚥量・食塊形成及び舌の押し込み・咽頭移動時間(食塊先端が口蓋垂下端を通過し,食塊後端が食道入口部を通過するまでの時間)について検討した。舌運動の改善・頸部伸展による嚥下代償機能の獲得によりVF検査上,以下の結果を得た。①誤嚥量は造影剤が食道より気管へ多く流入していたものが不連続な少量に減少した。②食塊形成が可能となり,舌の押し込みが改善した。③咽頭移動時間は8652msecから1254msecに短縮した。また水分補給用ゼリーによる口腔内保持・摂食訓練を施行し,食事レベルがゼリーから全粥・五分菜きざみ摂食可能まで改善した。
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© 1994 公益社団法人 日本理学療法士協会
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