1994 年 21 巻 4 号 p. 279-283
脊椎疾患患者の膝関節可動域制限に対し固有受容器性神経筋促通手技の一つであるホールド・リラックス手技(HR)と徒手持続伸張手技(MS)を施行し両者の継時的治療効果の差を明確にすることを目的に実験を行った。対象患者は各7名で,HR群平均年齢43歳,MS群平均年齢39歳であった。背臥位股関節屈曲90度位で膝関節伸展制限の角度を測定した。二元配置分散分析では,MS群と比較してHR群が治療後において有意な改善を認めた。
回帰診断の結果では,4週までの経過において治療前のHR群ではMS群より有意に大きな改善を認めた。これらの結果から脊椎疾患患者の筋短縮による関節可動域制限に対しては,HRがMSより優れていることが示唆された。