1995 年 22 巻 5 号 p. 202-207
呼吸器疾患患者の運動時における呼吸-循環応答を調べる目的で,健常者12名の胸郭を人為的に拘束し,肺活量を70%に拘束した群(VC70%群),肺活量を55%に拘束した群(VC55%群)を設定し漸増的運動負荷試験を行った。その結果,拘束の程度が増すほど運動持続時間は有意に短縮し,酸素摂取率は安静時及び運動時において,VC55%群で有意に減少し,運動時の酸素摂取量及び二酸化炭素生産量の最大値は,拘束により有意に減少し,肺活量に対する一回換気量の割合が一定値になると運動限界に達することがわかった。つまり,肺実質に異常がない健常者においても胸郭拘束により,運動能力や呼吸能力に大きな影響を与える結果が得られた。