理学療法学
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パーキンソニズム患者に対する補高が足圧中心動揺・歩行に及ぼす影響
―重症度別の検討―
奥 壽郎網本 和山崎 裕司
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1995 年 22 巻 8 号 p. 454-459

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抄録

パーキンソニズムに対する補高の効果を,立位足圧中心動揺(静的立位,側方動的立位,前後動的立位),歩行(速度,歩幅)の点から,重症度別に検討した。対象はパーキンソニズム患者29例で,Yahrの重症度分類に基づき,軽症群(Ⅰ,Ⅱ)12例,中等度群(Ⅲ,Ⅳ)11例,重症群(V)6例に分け,対照健常群10例を含めて非補高時と補高時とを比較分析した。その結果,対照健常群は全項目で補高による変化はなかった。軽症群では補高施行により側方動的立位における左右足圧中心動揺標準偏差が増加した。中等度群では補高施行により全測定条件で足圧中心は前方に移動,静的立位の動揺距離が減少し,側方及び前方立位の左右及び前後動揺標準偏差が増加した。歩行では補高施行により,歩幅が延長し,速度は増大した。重症群では補高施行により静的立位の動揺距離が減少する傾向であった。これらの結果より,パーキンソニズム患者に対する補高の効果として,軽症群では側方への随意的重心移動能力,中等度群では静的立位バランス・側方及び前後への随意的重心移動能力さらに歩行能力,重症群では静的立位バランスの改善が期待できるものと考えられた。

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© 1995 公益社団法人 日本理学療法士協会
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