抄録
脳幹,小脳の疾患を除いた脳血管障害患者324名を損傷部位及び症状より5群(前頭葉群,失語群,失認群,片麻痺群,視床群)に分類し,起き上がりと歩行について発症後12ヵ月まで月単位で自立度の差を調べた。結果から前頭葉群以外の4群で起き上がりの自立度が高い群は歩行の自立度も高く,自立度間に差があったが,前頭葉群は他群にくらべ起き上がりの自立度は低いが歩行の自立度は高く,自立度間の差は見られなかった。このことから他の群と比較し前頭葉群は歩行は容易であるが起き上がりは比較的困難であると考察される。これは覚醒,体幹の可動性,プログラミングの障害などが大きく関与していることが考えられる。特に覚醒に障害がある前頭葉障害患者の場合,立位歩行などの訓練を導入に行なうことが効果的と考える。