1996 年 23 巻 6 号 p. 349-354
成熟ラットヒラメ筋の廃用性萎縮予防に及ぼす,短時間筋伸張位保持の効果を麻酔下で検索した。 14匹の成熟ウィスター系雄ラット(24週齢)を,実験群と対照群に分けた。実験群は2週間の後肢懸垂法にて筋萎縮を惹起した。その間,右足関節を一日20分間(5日/週),麻酔下で最大背屈位に保持し,ヒラメ筋を伸張した(伸張群)。左側は懸垂のみとした(懸垂群)。対照群は懸垂せずに,麻酔のみ実施した。実験終了時にヒラメ筋重量を測定後,ATP染色を行い組織化学的に分析した。 その結果,筋湿重量および筋線維タイプ構成比率は,実験群間に差はなかった。伸張群の筋線維断面積の平均値は,タイプI・IIともに対照群より萎縮を示したが,懸垂群より有意に大きかった。以上より,短時間筋伸張位保持は,成熟ラットヒラメ筋の廃用性萎縮による断面積の減少を,抑制できることが示唆された。