1998 年 25 巻 1 号 p. 1-5
事象関連電位(Event related potential: ERP)P300により,図形認知の大脳半球優位性を検討した。健常者を対象に,左右いずれかの半側視野に呈示した図形に対する弁別課題中のERPをFz(前頭葉正中部)およびPz(頭頂葉正中部)から記録した。ERPのP300成分と,同時に記録した反応時間を呈示視野側間で比較した結果,Fz,Pzとも左視野呈示のP300潜時が右視野呈示に比べて有意に短かった。これは右半球が左半球に比べて視野認知過程に要する時間が短いことを示しており,図形認知における右半球優位性が支持された。