理学療法学
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報告
片麻痺患者における階段の降り方
―後方アプローチの有効性についての検討―
青木 詩子山崎 裕司青木 治人
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1998 年 25 巻 2 号 p. 77-81

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抄録

階段を前向きに降りること(前方アプローチ)が困難な片麻痺患者に対し,後ろ向きに降りる方法(後方アプローチ)を試み,その有用性について検討した。対象は片麻痺患者13例(年齢58.8 ± 15.8歳)で,前方アプローチによる階段の降りは,13例中5例が不可能であった。これらの症例に対し,前方アプローチと後方アプローチを施行し,それぞれの可否,不安感,所要時間,動作パターンを調査した。後方アプローチは全例が階段の降りが可能となり,階段の降りにおける不安感の比較でも,前方アプローチに比べ後方アプローチにおいて有意に不安感は小さかった。階段降りの所要時間は,後方アプローチと前方アプローチの間に有意な差を認めなかった。以上のことから,階段の降りが困難な片麻痺患者に対しては,後方アプローチを指導することが有効と考えられた。

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© 1998 公益社団法人 日本理学療法士協会
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