抄録
インスリン非依存型糖尿病に対する運動療法の効果を,血糖日内変動より検討した。対象はD群: 食事療法単独群12例,DE群: 運動療法併用群23例である。空腹時血糖値は,両群共に治療により有意に低下したが,両群間に有意差は認められなかった。血糖日内変動の平均値は,入院時と比較し両群共に退院時有意に減少を示したが,両群間に有意差は認められなかった。その際の変化量は両群に有意差は認められないが,変化率は有意にDE群で大きかった。血糖日内変動を食前と食後に分割して両群を比較すると,食前血糖の変化量,変化率は両群に有意差は認められないが,食後血糖の変化量,変化率はDE群で有意に大きかった。以上より,糖尿病に対する運動療法の効果判定に,血糖日内変動の測定は有用と考えられた。特に食後血糖値は,筋の血糖取り込み能を評価し得る事が示唆された。