理学療法学
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人工呼吸器装着中の呼吸理学療法に関する全国調査
高橋 哲也石川 朗神津 玲桜田 弘治嶋先 晃千住 秀明眞渕 敏
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2002 年 29 巻 6 号 p. 230-236

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抄録

理学療法士がどの程度,またどのように人工呼吸管理に関与しているかを明らかにするために,全国470施設を対象に,人工呼吸器装着中の呼吸理学療法(Chest Physiotherapy for patients withmechanical ventilation; CPT-MV)に関するアンケート調査を行い,272施設から回答を得た(回収率57.9%)。そのうち,CPT-MVを行っていると答えた施設は176施設(64.7%)であった。CPT-MVを行う際に最もよく用いる手技としては呼吸介助法,スクイーズィング,四肢の関節可動域練習・筋力増強練習の順に多かった。過去1年間でCPT-MV中に人工呼吸器関連のトラブルがあったと答えた施設は104施設(59.1%)で,その内訳は,ファイティング,気道への結露流入,気道内圧上昇の順に多かった。また,人工呼吸器関連以外のトラブルでは,筋・肋骨・脊椎の疼痛や不快感,不整脈,呼吸困難,急激な血圧変動,低酸素血症の順に多かった。それらトラブル発生時には看護師や医師への報告は高率で行なわれていた一方で,事故報告書を作成している施設はわずかであった。272施設中,CPT-MVを行っていないと答えた施設は35.3%あり,今後CPT-MVの普及のためには医学的効果の証明と,啓発,理学療法士自身の知識と技術の向上の必要性が挙げられた。

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© 2002 公益社団法人 日本理学療法士協会
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