理学療法学
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報告
漸増シャトルウォーキングテストにおける酸素摂取量の直線的増加に関する研究
―最高酸素摂取量は総歩行距離から予測可能か?―
有薗 信一高橋 哲也熊丸 めぐみ畦地 萌安達 仁千住 秀明谷口 興一
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2003 年 30 巻 4 号 p. 181-185

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抄録

閉塞性肺疾患患者の運動耐容能評価用に開発された漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)は最高酸素摂取量(peak VO2)を一次回帰直線式から予測できるとされているが,今までにISWT中の酸素摂取量(VO2)動態を連続的に1呼吸ずつ測定した研究はなく,実際にISWT中のVO2が直線的に増加するかどうかは疑問である。そこで,本研究の目的は,ISWT中のVO2増加の直線性を検討することである。健常人12例に対し,ISWTとトレッドミル上でのISWTの負荷プロトコルを用いた運動負荷試験(TET)を無作為の順番で行った。両テスト中はVO2をポータブル呼気ガス分析装置によりbreath by breath法を用いて測定した。ISWTとTET中のVO2と総歩行時間又は総歩行距離からの一次回帰直線式を算出し,peak VO2の実測値と予測値を比較した。その結果,実測peak VO2は総歩行時間から求めた予測peak VO2より有意に1Met以上高く,一方,総歩行距離からの予測peak VO2とは1ml/kg/min程度しか差を認めなかった。これらの結果から,ISWTの結果からpeak VO2を予測する場合は総歩行距離を用いることが望ましいと考えられた。

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© 2003 公益社団法人 日本理学療法士協会
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