理学療法学
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報告
CAD/CAMシステムを用いた断端とソケットの客観的評価
磯崎 弘司細田 多穂原 和彦野本 彰葛山 智宏相沢 純也八木 茂典佐々木 良細田 昌孝峯島 孝雄
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2003 年 30 巻 4 号 p. 186-191

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抄録

CAD/CAMシステムを用いて下腿義足に使用されているソケットの形状比較と断端との適合関係を検討し,ソケット自動作製の指標作りを目的とする。対象は下腿切断者17名,年齢21〜73歳,短断端2名,中断端12名,長断端3名。ソケットは現在問題なく使用しているものを用いた。方法は,CAD/CAMシステムを用い,断端・PTB陽性モデル・TSB陽性モデルの計測を行い,コンピュータ上で3次元にシミュレートした画像の比較検討を行った。評価項目は,断端長,膝蓋腱レベルの前後径・左右径・周径,膝蓋腱中央レベルから断端末までの体積,膝蓋腱中央レベルの形状を断端を基準に各ソケットの比較検討を行った。次に断端を基準に各ソケットの断端長,性別,活動性,年齢別の体積比較を行った。統計処理はスチューデントのt検定を用いた。結果,断端長は各ソケットで約2.5〜7%断端より長い値を示し,断端と各ソケット間,両ソケット間には有意な差を認めた。膝蓋腱レベル前後径・周径と断端の比較では,各ソケットとも約2.5〜5%断端より小さい値を示し,断端と各ソケット間で有意な差を認めた。ソケット特徴を明確にするため断端を上部(膝蓋腱〜断端中央)と下部(断端中央〜断端末)に分けた体積値では,上部体積がPTBで約5%,下部体積ではTSBで約4%断端より小さい値を示した。PTBでは荷重支持の圧迫が断端上部に強い傾向を示し,TSBでは断端下方で荷重支持の圧力を分散する傾向があると考えられる。断端値を基準にした各ソケットの活動性別体積比較では,活動性が高くなるに従い体積値は小さい傾向がみられた。CAD/CAMシステムを用いた切断端とソケットの客観的評価は,適合したソケットの指標作りの一助となりうると考えられた。

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© 2003 公益社団法人 日本理学療法士協会
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