理学療法学
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内臓脂肪型非肥満男性における体型と身体組成の特性からみた評価法
伊藤 健一長野 聖林 義孝川村 博文岡部 修一山下 修司米田 稔彦傳 秋光
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2003 年 30 巻 4 号 p. 197-202

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抄録
本研究の目的は,BMI値が25未満である内臓脂肪型非肥満のスクリーニングとその指標を体型と身体組成の特性を分析することにより検討することである。対象は平均年齢40.1 ± 10.6歳の男性で,一般的な身体測定と二重エネルギーX線吸収法による身体組成評価,腹部CTによる内臓脂肪断面積(VFA)の評価を行い,体型,身体組成因子とVFAの関連について検討した。結果は以下の通りである。1)VFAとウエスト周囲径の間(r = 0.69),上肢や体幹の脂肪量(r = 0.70以上)の間に相関を認めた。また,日本肥満学会が代謝性疾患合併の頻度より定めた内臓脂肪蓄積・非蓄積の判定指標VFA 100cm2のウエスト周囲径は81cmであった。2)VFA 100cm2未満の20〜30歳代(Y群),40〜50歳代(A群),VFA 100cm2以上40〜50歳代(B群)の3群比較では,脂肪量は上肢・下肢・体幹ともにA群-B群間のみに有意差を認めB群が高値を示したが,筋量では上肢・下肢・体幹ともに3群間に有意差を認めなかった。以上,今回の調査では,40〜50歳代における内臓脂肪型非肥満のスクリーニングとしてウエスト周囲径の計測は有用で,内臓脂肪型非肥満を把握するための指標となること,同様に上肢や体幹の脂肪量も有用であること,さらに内臓脂肪非蓄積例では少なくとも50歳代までは20歳代と体型的に著変がないことなどが示唆された。
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© 2003 公益社団法人 日本理学療法士協会
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