抄録
本研究では,脳卒中外来理学療法のあり方に示唆を得ることを目的として,1)外来理学療法の長期化の現状,2)外来理学療法に対する脳卒中後遺症者の期待と理学療法士の役割意識,3)外来理学療法と通所リハサービスを併用している者と通所リハサービスのみの利用者との比較の3点について検討した。調査は在宅脳卒中後遺症者284名と理学療法士200名を対象に郵送アンケート法にて実施した。その結果,外来理学療法が長期化する傾向があること,脳卒中後遺症者の多くが外来理学療法に対して麻痺や身の回りの動作が回復することを期待していること,一方,理学療法士は,機能回復よりも身体機能やADLの維持や確認を主な役割として意識していることが明らかとなった。以上から,患者と理学療法士が外来理学療法における目的を共有することがまず重要である。そうすることによって,地域リハビリテーションにおける外来理学療法の役割が明確化し,外来理学療法が患者の生活の再構築に貢献できることが示唆された。