理学療法学
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基調セミナー
介護予防と理学療法士の役割
大渕 修一
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2005 年 32 巻 4 号 p. 169-172

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抄録

介護保険制度は, 介護を必要とする人々が安心して自分らしい生活を送るための安全策として意義がある。また介護を家庭の問題から社会の問題へ, 行政の措置から利用者の選択へとさせたことなど, 社会福祉施策の理念を大きく変化させた意義も大きい。平成12年に施行された介護保険制度も4年が経過し, 平成18年の介護保険法の改定に向けて熱心な議論がされている。これまでの介護保険の運営状況を見ると, 平成12年4月には218万人でスタートした要介護認定者が, 平成15年4月末では348万人と, 全体で60%もの増加がみられた(図1)。認定者の増加は, 介護保険制度が国民に定着したことを示すものであり, 必ずしも悪いものではないが, 増加率は当初の予想を大幅に超えるものであり, 結果的に第2期の介護保険計画では全国8割の自治体で介護保険料を引きあげざるを得ない状況となったのは問題である。中でも, 要支援, 要介護1の比較的軽度の介護を必要とするものの増加は著しく, 平成12年度と15年度を比較すると1.9倍もの急激な増加を示している。

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© 2005 公益社団法人 日本理学療法士協会
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