理学療法学
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基調シンポジウム
外来診療における理学療法の専門性とアプローチの実際
佐藤 博志
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2005 年 32 巻 4 号 p. 163-168

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抄録

患者は常に何らかのニーズを持って, 何らかの変化を期待(我々理学療法士の治療的介入がもたらす)して外来診療に訪れる。実際の臨床場面において, そのニーズは必ずしも「日常生活活動」と「社会参加」の向上だけではない。日々過ごしている中で付きまとう麻酔側肢の痛みや痺れ, 重苦しさやこわばりに悩まされている患者も数多い。何らかの理由で治療までの期間が空いてしまったときに, 「今日まで辛かった。」「乗りきれるかどうか不安だった。」と訴えられたり, 逆に治療後に「これで1週間頑張れそう。」と言ってもらったりすることもある。定期的な治療計画の見直しの際に, 本人や家族からの希望を聴取すると「今の状態を維持できれば…。」と答えられる方も少なくない。更なる生活機能の向上に向けた具体的な目標を患者側が求めてこない背景には, その「可能性」を治療者側が具体的に提示できていない現実があるように思う。「可能性」は「潜在能力の顕在化」によって見出されるものであり, その事を治療結果によって提示できるのが理学療法士の専門性と考える。

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© 2005 公益社団法人 日本理学療法士協会
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