理学療法学
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研究報告
椎弓形成術が適応された頸髄症における機能障害・機能的制限・活動制限の術後1か月の回復過程
樋口 大輔新谷 和文内山 靖
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2008 年 35 巻 5 号 p. 245-253

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抄録

椎弓形成術が適応された頸髄症における機能障害,機能的制限,活動制限の障害構造に即した術後1か月の回復過程を明らかにすることを目的に,5つの国際頸髄症評価表を含む13指標を用いて頸髄症者37人(男性25人・女性12人,平均63.5歳)の術後1か月の状態について前方視的に調査した。術前頸髄症の特徴は,多くの者が歩行や手指巧緻運動にぎこちなさを生じていること,ほとんどの者でしびれや疼痛などの感覚障害が四肢に生じていること,4人に1人で膀胱直腸障害が認められることであることが明らかとなった。そして術後1か月の追跡により,多くの機能障害は主に術前から離床時にかけて回復し,機能的制限および活動制限は主に離床時から術後1か月にかけて改善する時間的な術後回復過程が明らかになった。術前から離床時にかけての機能障害の回復は,神経伝導機能の改善による手術の即時的な効果と考えられた。一方で,機能的制限および活動制限の改善には離床後一定の時間を要したことから,改善に関わる機序が機能障害と異なることを示していた。

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© 2008 公益社団法人 日本理学療法士協会
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