2009 年 36 巻 1 号 p. 9-17
【目的】本研究では,今回考案した運動感覚の能動的知覚に応じて運動出力する運動負荷方法である運動平衡保持(K-E)法による練習介入を行い,我々が設定する変数が,練習介入の結果として生じる機能的変化を検出できるかどうかを明らかにする。また,従来からの運動感覚機能評価法である再現法による検査成績とK-E法による検査成績との関係から,K-E法の検査成績が,再現法によって評価される機能と関連しているのかどうかを明らかにする。【方法】健康な成人男性に対して,K-E法による練習を2日間反復させ,その前後にK-E法および再現法による検査を実施した。運動は膝関節伸展方向とした。【結果】K-E法では,練習後の検査成績が有意に向上しており,設定した変数が運動感覚および運動出力の機能的変化を検出していることが示唆された。また,K-E法の検査成績と再現法の検査成績との間には,相関を認める変数の組み合わせが複数あった。【結論】以上のことから,我々が設定した変数は,K-E課題の成績を示す指標として妥当であるものと考えた。また,K-E法の成績は再現法の成績が反映する機能と独立ではなく,それらの機能と係わりがある可能性が示唆された。