理学療法学
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研究論文
定期的運動習慣の有無が間欠的無酸素性運動後回復期の心臓自律神経系活動に及ぼす影響
小川 真人北垣 和史小野 くみ子
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2010 年 37 巻 5 号 p. 349-355

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抄録

【目的】定期的運動習慣の違いが,安静時および間欠的無酸素性運動後の回復時における心臓自律神経系活動に与える影響を明らかにすることである。【方法】対象者は定期的に運動を行っている健康大学生24名(年齢20.6 ± 1.2歳),および定期的な運動習慣を持たない健康大学生26名(年齢21.6 ± 0.9歳)の計50名であった。測定項目は,心拍数,心拍変動,運動反復回数,運動反復時間であった。運動様式は,高さ15 cm,23段の階段の全力駆け上がり,その後20秒休息を1クールとし,これを80% HR reserveに至るまで繰り返し実施した。【結果】安静時では,運動習慣を有さない群と比較して運動習慣を有する群は心拍数は有意に低く,心臓副交感神経系活動は有意に高値を示した(各々p < 0.05)。間欠的無酸素性運動後の回復期30分において,心拍数は,運動習慣を有する者の回復が有意に早く(p < 0.05),心臓副交感神経系の活動は運動直後と回復期30分を比較したとき,運動経験を有する群で有意に上昇(p < 0.01)した。しかし,心臓交感神経系活動の経時的変化に有意差はみられなかった。【結論】運動習慣を有する者の安静時心拍数の低下,運動後の心拍数の早期回復には,心臓副交感神経系の活動が大きく関与していることが示唆された。

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© 2010 公益社団法人 日本理学療法士協会
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