理学療法学
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平成21年度研究助成報告書
鏡によって誘発される体性感覚と個人因子の研究
―referred sensationと共感指数との関係―
高杉 潤樋口 大介杉山 聡吉田 拓松澤 大輔沼田 憲治村山 尊司中澤 健清水 栄司
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2011 年 38 巻 2 号 p. 124-125

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抄録

触刺激される体肢の鏡像の観察によって誘発される体性感覚(referred sensation:RS)の有無や程度には個人差があることが知られている。しかしなぜ個人差が生じるのか調べた研究はなく,個人因子は明らかになっていない。本研究は,RS誘発には個人の持つ共感能力の高さが要因にあると仮説を立て,Empathizing Quotient(EQ)を用いてRSとの関係を明らかにすることを目的とした。23名の健常者を対象にRS誘発課題とEQ課題を実施した結果,EQおよびEQの細項目のひとつ,emotional reactivity(ER)の得点とRSの程度との間に正の相関が見られた。視覚―体性感覚の共感覚とERとの間に相関が見られるとするBanissyらの報告と今回の結果が合致することからも,RS誘発の個人因子のひとつとして,個々の共感能力の高さが関与していることが示唆された。

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© 2011 公益社団法人 日本理学療法士協会
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