2011 年 38 巻 6 号 p. 436-441
【目的】本研究の目的は,慢性心不全(CHF)患者の運動耐容能を腎機能別に調査し,慢性腎臓病(CKD)合併CHF患者の運動耐容能関連要因について明らかにすることである。【方法】男性CHF患者119例を対象に推算糸球体濾過量(eGFR)を基に,A群(eGFR60以上),B群(eGFR30以上60未満),C群(eGFR30未満)の3群に選別し,運動耐容能および上下肢筋力を比較した。さらにB・C群(CKD群)の運動耐容能関連要因を検討した。【結果】腎機能別の3群間の比較では,運動耐容能,膝伸展筋力,握力は,eGFRが低い群で有意に低値を示した。さらに,CKD群の運動耐容能関連要因を重回帰分析にて検討した結果,膝伸展筋力とeGFR(R = 0.68,R2 = 0.44,p < 0.001)が抽出された。【結語】CHF患者では,腎機能低下にともない運動耐容能は低下した。また,CKD合併CHF患者の運動耐容能関連要因に,膝伸展筋力とともにeGFRが抽出された。