2011 年 38 巻 6 号 p. 421-435
【目的】本研究は,理学療法士養成課程の英語教育を,ESP(English for Specific Purposes)教育の下位分野のひとつに位置付け,合理的根拠を備えた専門英語教育の内容構築を行うための基礎的分析を行うことを目的とする。【方法】リハビリテーション・理学療法専門学術雑誌が対象の学術論文コーパス(397,874語)と,理学療法教科書(概論書)が対象の教科書コーパス(546,666語)を構築し,2種類のコーパスの語彙的特性を分析した。また,各コーパスから理学療法分野の専門的語彙を抽出し,理学療法ESP語彙表を構築した。【結果】他分野の学術的テクストと比較し,2種類のコーパスの両方で,専門的語彙が多用される傾向が強かった。各コーパスの専門的語彙は,理学療法の業務内容をよく反映しており,8割以上の単語がどちらのコーパスでも出現していた。ESP語彙表には1,600語がおさめられた。【結論】2種類のコーパスは概して質的に同様の特徴をもっていた。語彙指導の際には,学習の負担を軽減する工夫が必要であると推察された。