理学療法学
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研究論文
心不全患者の日常生活動作に対する左室収縮不全や心腎貧血症候群の影響
齊藤 正和小澤 哲也塩谷 洋平岡村 大介馬淵 美也子中澤 麻理子青柳 真理恵坂本 純子秋保 光利
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2013 年 40 巻 1 号 p. 10-15

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抄録
【目的】心不全患者の日常生活動作に対する左室収縮不全ならびに心腎貧血症候群に(CRAS)の影響を検討する。【方法】2011年8月から2012年2月の間に入院加療中より理学療法を施行した心不全患者256例(女性49%,年齢79±11歳)を対象とした。入院時の左室駆出率(LVEF)によりHFrEF群(LVEF≦40%)119例とHFpEF群(LVEF > 40%)137例に分類した。また,Hb<男性12 g/dl,女性11g/dlを貧血,eGFR < 60 ml/min/1.73 m^2を漫性腎臓病(CKD)と定義し,貧血とCKDの保有数により3群(A群:0個,B群:1個,C群:2個)に CRAS を分類した。【結果】HFpEF群はHFrEF群に比べて,入院から歩行開始までの日数が有意に高値を示し,Barthel index(BI)および歩行機能は,入院時ならびに退院時ともに有意に低値を示した(p < 0.05)。入院時と退院時のBIの推移とCRASとの間には両群ともに交互作用を認めなかったが,HFrEF群でのみCRASの主効果を認めた(p < 0.05)。【総括】HFpEF群はHFrEF群に比べて入院時ならびに退院時のADLが低値であることが示された。また,HFrEF群では,CRASの重症度によりADLが低下することが示された。
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© 2013 公益社団法人 日本理学療法士協会
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