理学療法学
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短報
ラベンダーの香りが上肢脊髄神経の興奮性に与える影響
由留木 裕子鈴木 俊明
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2013 年 40 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

【目的】ラベンダーの刺激が筋緊張にどのような影響を及ぼすのか,筋緊張の評価の指標といわれているF波を用いて,上肢脊髄神経の興奮性に与える影響をあきらかにすることである。【方法】嗅覚に障害がなく,アロマの経験のない健常者10名(男性7名,女性3名),平均年齢25.9±6.0歳。コントロール群9名(男性6名,女性3名),平均年齢29.1±8.8歳。被験者を背臥位にし匂いのない状態とラベンダーの匂いのある状態でF波を測定した。実験後,香りの好き,嫌いについてのアンケート調査を行った。【結果】出現頻度においては,吸入終了後5分と10分の出現頻度は,安静時と比較して有意に低下した。ラベンダー吸入開始時,吸入1分後の振幅F/M比は安静時と比較して有意に増加した。アンケート調査の結果,対象者全員好きな香りであると答えた。【結論】アロマ未経験者において,ラベンダー刺激終了後に上肢脊髄神経の興奮性が低下する。そのため,筋緊張の抑制を目的とする場合はラベンダー刺激終了後に筋緊張を抑制するアプローチを行えば筋緊張をより低下させる効果が得られる可能性があると考える。

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© 2013 公益社団法人 日本理学療法士協会
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