2015 年 42 巻 6 号 p. 474-479
【目的】随意的に荷重を移動させる動的バランスの課題を用いて,聴覚フィードバックと視覚フィードバックの学習効果を比較することだった。【方法】被験者は健常若年者20 名とし,無作為に10 名ずつ2 群に割りあてた。被験者にはモニター上に写し出されたターゲットに,自身の足圧中心を前後に移動させて一致させるように指示した。練習ではターゲットの他に,足圧中心位置と連動して聴覚フィードバック(以下,聴覚群)または視覚フィードバック(以下,視覚群)が与えられた。正確性の指標として,足圧中心とターゲットとの間の距離の二乗平均平方根(以下,RMS)を算出した。【結果】両群ともに練習直後は,練習前と比較してRMS が有意に減少した。一方,練習後から1 日経過後では,聴覚群でRMS の減少が持続していたが,視覚群では有意な増加がみられた。【結論】断続的な感覚フィードバックを用いた動的バランスにおいては,聴覚が視覚よりも運動学習に優れている。