抄録
【目的】自転車エルゴメータ駆動時の外側広筋(以下,VL)と大腿直筋(以下,RF)の筋活動変曲点(以下,EMGT)と換気性作業閾値(以下,VT point)の時間的関係を明らかにする。【方法】健常若年男性10 人と地域在住高齢男性10 人を対象とし,表面筋電計で計測したVL とRF の活動推移から折れ線回帰を用いてEMGT の時間を求めた。【結果】若年群ではVL,RF のEMGT はともにVT point よりも遅れて出現した。一方,高齢群のVL ではRF およびVT point よりも早期に出現したが,EMGT を境に回帰直線の傾きは有意に低下した。【結論】若年者では,無気的代謝が優位となることで運動単位の追加リクルートが生じ,EMGT が出現することが示唆された。それに対して,高齢者のVL のEMGT は有気的代謝優位の中で出現しており,EMGT を境とした筋活動増加勾配の低下は膝伸展筋以外の筋活動によってVL の疲労を先延ばししている可能性が考えられた。