2017 年 44 巻 4 号 p. 284-290
【目的】保存的頸部郭清術後の頭頸部がん患者の自宅退院後における上肢機能障害の経時的変化を明らかにすること。【対象】頭頸部がん患者18 名(平均年齢52.4 歳)とした。【方法】僧帽筋麻痺の指標として肩関節自動屈曲・外転角度(以下,自動屈曲・自動外転)を計測し,上肢筋力として握力を計測した。さらに日常生活動作の困難感と社会生活の参加制約の指標としてDisabilities of the Arm Shoulder and Hand(以下,DASH)を用いてアンケート調査を実施した。各評価の計測時期は手術前,手術後3 ヵ月後と6 ヵ月後とした。【結果】自動屈曲と自動外転および握力は6 ヵ月後に手術前と同等まで改善したが,DASH得点は6ヵ月後でも手術前と比較し悪化していた。【結語】自宅退院後のDASH得点の経時的変化は,自動屈曲・自動外転や握力とは異なり,同時期の理学療法では活動や参加にも着目する必要がある。