理学療法学
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研究論文(原著)
在宅脊髄損傷者の褥瘡発生危険因子の検討
─アンケート調査を用いた後ろ向き研究─
延本 尚也岡野 生也篠山 潤一山本 直樹安田 孝司代田 琴子安尾 仁志相見 真吾橋本 奈実太田 徹深津 陽子鳥井 千瑛田村 晃司山口 達也陳 隆明
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キーワード: 脊髄損傷, 褥創, 危険因子, 在宅
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2017 年 44 巻 4 号 p. 277-283

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抄録

【目的】本研究の目的は在宅脊髄損傷者の退院後の褥瘡発生の有無を調査し,在宅脊髄損傷者の褥瘡発生危険因子を明らかにすることである。【方法】1996 年1 月~2005 年12 月までの10 年間に,当院を退院した脊髄損傷者310 名を対象に,郵送法による自記式アンケートを実施した。アンケート回答結果とカルテ診療録の情報を基に,後方視的に検討した。【結果】アンケート回収率は51.0%であり,約半数の対象者は退院後に褥瘡を経験していた。損傷の程度,入院中の褥瘡既往の有無,調査時の介助量,介助量の変化,外出頻度,自家用車の運転の有無が有意な因子として認められた。【結論】在宅脊髄損傷者において,完全損傷であること,入院中の褥瘡の既往があること,介助量が多いこと,活動性が低いことが褥瘡発生危険因子となることが明らかとなった。一方で,同居人の存在や在宅サービス利用の有無については褥瘡予防に有効に作用していない可能性が示唆された。

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© 2017 日本理学療法士学会
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